私と二人の物語
篠田さんはやっぱり展望テラスの駐車場に車を停めた。

車を降りると、青々とした緑と真っ青な空にやっと気が付いた。

「今日は天気が良かったんですね」

「ええ」

篠田さんが少し寂しそうに笑った。

「あ、ごめんなさい」

「いえ」

彼はまず、あの塔の方へ歩き始めた。

私は一瞬止まった足のせいで、一呼吸遅れて付いていった。

彼は私を気遣うように、螺旋階段をゆっくり上ってくれた。
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