私と二人の物語
本当にこれでいいのだろうか…


自分に問いかけた。


でも、私は心を決めた。

これから、失われた時間がここに書かれていくことになる。


表紙を見つめた。

何かタイトルを付けたいと思った。

しばらく考えていた。


そうだ。

ただ記憶の整理のためだけに書くんじゃなくて、失われた物語をちゃんと書き留めたい…

そう思った。

すると、今書いたのは、少し違う。

私は、引き出しから別の新しいノートを取り出した。

少し考えた後、表紙に

『私と二人の物語』

と、書いた。

しばらく、そのタイトルの韻を声に出さずに唇だけで読んでいた。

うん、これでいい。

私は、そのノートの表紙をめくると、見開きを手で押さえた。

ペンを持って、その書き出しを考えた。

でも、今日の今日で、書くにはまだ早いと思った。

それに、まずこっちに書くのは今日から始まった物語の方。

2年前の物語は少しずつ集められた思い出を紡ぐ必要がある。

明日はゆっくり話が聞けると思う。

私は二冊のノートを引き出しにそっとしまった。


ふと横に置いたスマホが目に付いた。

「そっか…メアド」

私はスマホを手に取ると、メアドを変更しておいた。
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