私と二人の物語
しばらく二人でその景色に見惚れていたが、

「何かあったんですか?」

篠田さんは、景色を見たまま、呟くように言った。

でも、私はうまく言葉にできそうになかった。

「前に言っていた、やらなければいけないことの関係ですか?」

彼は、柔らかく言葉を続けた。

「…はい」

「うまくいかなかったんですか?」

「…えっと、あの時やらなくてはいけないと思ったことは、やれたんですけど…」

篠田さんは、そこで優しい視線を向けた。
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