私と二人の物語
「え?なに?」

私はその母の言い方に、二人を交互に見た。

「あ、いや、おまえは篠田君をどう思ってるんだ?」

父はごまかすように聞いてきた。

「それは、素敵な人だと思うよ。不満なんて、どこにもないよ…」

「そうだろ?俺が勝手に決めたところはあるが、彼以上に素晴らしい婿候補はいないと思っている」

少し父が自慢気に言った。

母がチラッとそれを見たので、父は「ごちそうさま」と言って逃げていった。

「ねえ、お母さん、さっきのは?」

「ほら、余計なことは気にせず早く食べなさい」

そう言われて好江さんを見ると、「お嬢様はお代わりはいかがですか?」と聞いてきた。

「じゃあ、もらうね」

私は、何となくそう言うしかなかった。

少し好江さんも何かをごまかしている気がしたけど、今夜はそれで終わらせた。

あの事故のことだとは思ったけど、なぜ早いのか、その時にはまだわからなかった。
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