私と二人の物語
ただ、悟の姿を見たい。

その日以来、その思いで、私は悟の幻影を探すようになった。

悟かと思って他人の背中を追ってしまい、その顔が見えた時に呆然とする。

それならまだしも、街を歩いていて、いないはずの悟を何度も見た。

声を掛けようとするとそれは消える。

その度に感情が溢れ、涙を止めることができなかった。

どうしようもなくなった時に、なぜかタイミング良く篠田さんに誘われて自分を取り戻す。

そんなことを繰り返していた。
< 262 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop