私と二人の物語
「こういう感じはどうです?」

広げたパンフの一つを差し出して、篠田さんが言った。

その写真のチャペルは、ガラス張りでとても明るかった。

「それも素敵ですね」

「ですよね。選びきれませんね」

「はい」

私達は、うちで、ホテルや結婚式場のパンフを広げながら式場選びを相談していた。

この前みたいに、実際に見に行ったところも何ヶ所かあったけど、まだ決まってはいなかった。

私が「もうここでいいかな」と思った時は、篠田さんがどこか納得しない感じだった。

それは何となく、決めるのを故意に伸ばしてるのかとも思えた。

でも、私はそのことに触れることはできなかった。
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