私と二人の物語
そこは片付いてはいるが生活感があった。

「あ、そっか。今はこっちを使っているのか…」

彼はしまったという感じでドアを閉めかけたが、ふと、机の上のノートに気が付いた。

「失礼します」

彼は誰に言うでもなくそう呟くと、机の前まで行った。

「私と二人の物語?」

そのノートにはそう書かれていた。

「さすがに日記じゃないよな…」

彼は、小説でも書いているのかと、それを手に取った。

そして、中を読み始めたが、彼の表情が変わった。

ゆっくり読む時間はなかったが、パラパラとめくり、最後の辺りは少し丁寧に読んだ。

この時系列…これは事実だ。

小説なんかじゃない。

彼はそう思った。
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