私と二人の物語
「いや、ちょっとふらっと入っただけですが、骨董って面白いですね」

「それは嬉しいですね。他にも何か気になるモノはありましたか?」

「えっと、これなんかも」

「ああ、それは…」

そんな感じで、篠田はしばらく悟に説明を受けていた。

篠田はそんな時間の中、見た目と違った悟の誠実さを感じ取っていた。

篠田が店を出る時には、その手にあのカレイドスコープがあった。

つくしという彼女が、今日ここに居たことが、彼をただのお客にした。

彼は、その包みと店を見つめると、軽くため息をついて、坂を下っていった。
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