私と二人の物語
この辺りはお店が建ち並んでいて、明かりが灯ったショーウィンドウもたくさんある。

私はそれらを覗きながら歩いていた。

ふと、濃い青のイメージの中で何かが輝いているショーウィンドウに目が留まった。

ガラス細工のお店だった。

立体的な台座に置かれたガラス細工に、スポットライトが当てられて、そこだけ輝いていた。

それを眺めていると、全体的には暗めのガラスに映る自分の顔に気が付いた。

ぼーっとその表情を見ていると、映った自分が笑った気がして、少し驚いた。

私は笑っていない。

それは私と同じでありながら違う顔に思えた。

でも、もう一度見返した時は、もう今の自分の顔だった。

「笑えってこと?」

2年前の美緒にそう言われた気がした。

そう。

悟といる時の私は本当の私じゃない。

しっかり者とは言われるけど、どちらかというと引っ込み思案なのが本当の私。

彼は私のことを、明るい感じが変わってなくてよかったと言った。

彼といる時は、明るかった(ちょっと天然?)姉の真似をしているだけ。

彼女だったらこうしたろう、ああしたろう…

それも彼に「再会」してまだ二度目。

思い出しながらの真似だから、疲れるのも当たり前かもしれない。

でも、悟の前の私は、嫌いじゃない。

それどころか、そっちの方が本当の自分だとも思える。

家の事がなければ、もっと自然に生きられているのかもしれない。
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