私と二人の物語
「今日もいつもくらいに帰る?」

私が夕暮れが濃い青に変わり始めた外の景色を見つめていると、悟が言った。

「…うん。ごめん」

「いいよ」

彼は笑顔で言ってくれた。

私は最初の日以後は、父の目が厳しいとごまかして、晩ご飯の前に帰る様にしていた。

好江さんも怪訝に思うだろうし、気持ちが深くなるのを抑えていた。


そして、その帰る時間。

いつものように店の方から出ようとすると、ドアが開いて誰かが入ってこようとした。

私は少しよけて、「どうぞ」と促したが、その人は私を見つめて固まっていた。
< 49 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop