私と二人の物語
山上駅に着くと、少し暗い駅舎の中はやっぱりレトロ風だった。

少しノスタルジックに感じる。

外に出ると、ちょうど出っ張った崖の上にあるので、駐車場の方はそれなりに景色が見える。

とりあえず、その景色は後のお楽しみに取っておく。

そして、ここからはまたバス。

20分置きに運行されていて、オルゴールミュージアムや高山植物園、展望テラスなどの六甲山上の観光施設を周ることができる。

私たちは停車していたバスに乗り込んだ。

一番後ろが空いていたので、また同じ席に座った。

そして、そんなに経たないうちにバスは発車した。

バスはさっき言った順番に停まる。

でも、私たちは2年前の再現なので、そのまま展望テラスまで行った。

バスが走る道はほぼ一番標高の高いところを走っていくけど、少し内側に入っているので、言うほど景色の見える場所はない。

だから、なんとなく悟との会話が続いていた。

その会話は自然で、私が男子とこんなに話せるのが不思議だった。

ただ、さっきもそうだけど、悟もさりげなく私の記憶のない時期の話は避けていた。

だから、こうして会話が流れるのだろう。


「ん?どした?」

「ううん。なんでも」

私は軽く首を振ると微笑んだ。

「そういえばさ…」

私は会話を続けた。
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