私と二人の物語
ある日の午後。

私たちはリビングのソファーに座ってお茶をしていた。

「さとるー!」

店のドアが開いたことを知らせるブザーの後、下の方から聞こえたワクワクした感じの声に、私は戸惑った。

目の前で珈琲を飲んでいた悟を見た。

それに応えるように彼も少し戸惑い気味に微笑んで、いつものように立って行った。

少しのやり取りをする声が階段の下から上がってきて、その声の主が視界に入った。

「あれ?お客さ……」

ショートカットの若い彼女の言いかけた言葉の語尾が消えていった。
< 67 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop