私と二人の物語
「ちょっと…何であの人がいるの?」

彼女は抗議気味に悟を見た。

「いや、彼女は…」

「ちょっと!あなた、ここで何してるのよ?」

彼女は悟の言葉を遮ってこっちに来ると、私に言った。

「…えっと、私…」

「よくもまあ、そんなに涼しい顔して座っていられるわね!あなたねぇ、あの後、悟がどれだけ辛い思いをしたと思ってるの!!」

戸惑っている私に彼女は手を上げかけた。

「つくし!」

それを悟が慌てて止めた。

「なんで!?…なんで、悟もそんなに涼しい顔していられるの?あんなに辛い思いしたのに!」

彼女は信じられないという表情で抗議した。

「待って!つくし。ちょっと待って。俺の話を聞いてくれ」

「ちょっと!離してよ!」

「ちょっとごめん」

悟は私にそう言うと、暴れる彼女を二階に連れて行った。

私は悟が『つくし』と呼び捨てにする彼女を、二階の寝室に連れて行ったことにも戸惑っていた。

親戚なんだろうか?

いや、それよりも、あんなに普通に接してくれていた悟が、やっぱり当時はかなり辛い思いをしていたということ…

それはそうだよね。

当たり前だよね。


私は、ここに居ることが、もう無理なんじゃないかと思った。
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