私と二人の物語
私もそれ以上何かを言えるわけもなく、ごまかすように、つくしさんのことをもう少し聞いた。

彼女は現在、京都美術大美術学部イラスト学科3年生ということで京都に部屋を借りている。

悟は小さい頃からここに遊びには来ていて、その頃から、知っている幼馴染みらしい。

さらに、高校を卒業する3年前まではこの近くに住んでいたということで、悟とは、ほぼ6年間は一緒にいたようなもの。

だから、平気で寝室にも連れていけるような仲だった。

悟には妹みたいな感覚なんだと思う。


あと、2年前にはよく顔を出して、ご飯を作ろうとか、家の中のことをいろいろしようとしたらしいけど、どうやら彼女も家事は苦手だったみたい。

少し親近感がわいた。

それはそれで、さっきの彼女の台詞でわかる。

彼女は悟を支えようとしただけ。


私はなんとなく、今日はもう帰ることにした。

悟は何か言いたげだったけど、店の外まで見送ってくれた。

悟に手を振りながら坂を下ると、もう西の方は赤くなりかけていた。

私は、この季節の早い日暮れに少し救われた気がしていた。

その夜に書いた物語には新たな人物が登場し、そこからストーリーが進む方向が少しズレた気がした。
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