私と二人の物語
「ん…からくり箱?」

勉さんがそう言いながら白っぽい箱を開けるのが見えた。

「そう。その白木の箱の表書きには『からくり箱』って書かれてるんだけどさ」

「そうだな…確かに。振ると少し中で何か動く音がするしな」

勉さんは、白木の箱から取り出した黒っぽい箱を丁寧にあちこちを調べていた。

「で、悟。これがどうしたんだ?それなりに古いものだが、そんなに値付けに困るものじゃないだろう」

勉さんは、少しメガネを下げてこっちを見た。

「それがさ、開かないんだよ、それ」

「はあ?開かない?」

「ああ」

悟は頷いた。

勉さんはまたその箱を手に取ると、さらにじっくりと調べ始めた。

「材質は黒檀とか紫檀とかを使っているから、それなりのモノだが、この小さな四角や三角の紋様はどう見ても寄木細工だろ?箱根のとはちょっと違うが…」

「まあね。とりあえず開けて見てよ」

勉さんは悟に言われて、いろいろ試してみた。
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