私と二人の物語
この最初の建物は、ほぼガラス張りの通路という感じで、左右の建物の中にしかお店はない。

中空に通路もあるけど少しスッキリした雰囲気。

どちらかというと、一番奥の建物がいろんなお店が入っていて賑やか。

特に2階のところは普通なら屋外のはずのところにいろんなショップが並んでいて、スペインの路地裏というイメージ。

そんなショップを見て回る間、先輩は流れるようなタイミングで話し掛けてくれて、しばらく振りな感じがしなかった。

私もすぐにあの頃の感覚になれて、たくさん会話ができていた。

雑貨屋に入った時は、お互いテンションが上がって盛り上がり気味だった。

(ここは、前に悟と来たところだけど…)

首を軽く振って、そのまま店内を歩いていると、ふと鏡に私達が映っていて、その映像と会話が、私の中で一つにならなかった。

(私、今、先輩と二人でいるんだ)

そのことは、あの頃には夢みたいなものだった。

なぜ、今なんだろう…
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