鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
「あのさ。社長って、小笠原の事好きなんじゃないの?」
ジョッキの中が無くなりそうだったので注文しようとした時、高本が突拍子も無い事を言い出した。
「頭打ったか?高本よ。あり得ないでしょそんな事。」
「だよな。お前みたいなおっさんとじゃ釣り合わないわな。」
「殴るよ。…まぁそうだけど。」
あんな歩くエリートイケメンと一事務員なんて不釣り合いもいいとこ。
「ほんと、今時珍しい女だよ。ほぼすっぴんだし。」
そう言いながら私の頰をつつく高本。
朝に軽く塗ったファンデはもう取れている。
「メイクしなきゃダメ?あ、大ジョッキお代わりください」
こんな女とあの社長が…なんて事地球がひっくり返っても絶対起こり得ない。
こんな事思ってること自体迷惑がられそうだ。
何せ初日に星1個のレッテルまで貼られているくらいだしね。