鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
「にしてもさ、あのソレイユホールディングスがうちを買収するなんてな。まだ信じられんわ。」
「だよね。」
ソレイユホールディングスとは、食品や飲料メーカーの大手をいくつも傘下に置く巨大なグループで、ここ数年の業績は本当に凄い。
不動産やアミューズメントパーク業界にも参入し、事業拡大の一途を辿っている。
そんな大企業に、おこがましくも三年前就活で、エントリーしたのは何を隠そうこの私だ。
「皮肉だよね…あんな酷い落とされ方したのに、今はその傘下にいるんだもん。」
「まぁ世の中何が起こるかわからんってことだな。」
「ほんとにね…」
そう言いながらグビリと2杯目のビールに口をつけた。