鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
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「社長。何をそんなに怒ってるんですか…。」


いつものように社長が運転する高級車の助手席で、隣の社長に問いかける。
高本も変だったけど、社長も変だ。

いつも機嫌がいいわけじゃないし笑ったところなんてほくそ笑むくらいしか見た事ないけど、こんなに感情を見せて怒ることもなかった。


無言で十数分運転した先、海の見える公園の側で車は止まった。

着いたのかな?と思ってシートベルトを外していると、ようやっと口を開いた社長から変な質問をされた。


「あいつと付き合ってるのか?」


…何のこと言ってるんだ?
あいつ?高本のこと?高本と私が付き合ってるってか?


「いや、ただの同期です…まぁ仲はいいですけど。」

「そう思ってるのはお前だけだ。」

「え。」


何気に失礼な事言われた気がしたが、言い返す前に運転席は空っぽになっていて窓の外を見るとスタスタと歩く姿。

もう…一体何なんだ…


私は急いで後を追った。
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