鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
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「うわぁ…すごい…!!」


目の前に広がるのは海の上に浮かぶ神秘的な世界。
そこへ行く為にかけられた桟橋も綺麗にライトアップされて、このまま異世界に行ってしまいそうな気分になる。


「予約した蓮水です。」


私の感動になんて興味も示さず、先に桟橋を渡り店の人に声をかける社長。

同じようにはしゃいでくれとは言わないけど、もうちょっとこの雰囲気味わってもいいと思うんだけどなぁ…
と不満に思うものの、
毎度リサーチだと連れて行ってもらうレストランはどれも私の心をくすぐる場所で、このタイ料理屋も雑誌で見てドッグイヤーしていたところだ。

そう、社長は抜群にセンスがいい。
と言うか好みが合う。


プライベートな時間を削られても、これなら文句も言えなくなってしまうのだ。


「お客様?お連れ様がお呼びです。」


まだ桟橋の途中にいた私を、品のいい店員さんが呼びに来てくれた。
クス、と笑う仕草もとても上品だ。


「すいません…」


恥ずかしくなって謝ると、またクスと笑われた。

「素敵な彼氏さんですね。なかなか来ないから見てきてくれって…とても心配されていましたよ?」


ちょっと待って勘違いしてます!
あの人せっかちなだけで心配してるわけじゃありません!ていうか彼氏じゃありません!

と言う前に社長が待つ席まで辿り着いてしまったので、否定することも出来ず座るしかない。
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