鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
「って、何脱いでるんですか!?」


振り返るといつの間にかスーツもシャツも脱いで上半身裸の社長の姿。

引き締まった筋肉に目を奪われる。
って変態か私は!


「風呂に入る。背中流せ。」


慌てる私を他所に、スタスタとバスルームに歩く筋肉質な背中。


「え?ちょ、なんで私が…」


そこまでしなきゃならんのだ、と言おうとしたけど振り返った社長の再発したキラキラオーラで言葉を飲み込む。


「家賃は要らん。だからそのくらいしろ。」


え。
お金貯めたいから家賃いらないのは助かるし、こんなとこの家賃払える甲斐性なんてないけど…背中流すって、ねえ??これまた秘書の仕事じゃないよね?

って、一緒に住む時点で色々おかしいのか。


バタリと閉まったバスルームの扉の音に、覚悟を決めるしかないと悟る。


私は部屋から持って来た僅かな荷物の中から、Tシャツと短パンを引っ張り出し、さっきの部屋で着替えた。
これで何とかなるか。とバスルームに向かった。
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