鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
私は入口に背中を向けてる状態なので、誰が入ってきたかわからない。
慌てて離れようと高本の腕を引っ張る。
けど、いくら力を入れてもその腕は言うことを聞いてくれない。
完全見られてるよね、この状態。
さすがにヤバイと言おうとした時、信じられない人物の声が響いた。
「返してもらおうか。」
低く響く声の主は、私のよく知る人物で、
この涙の、主な原因。
婚約者の話しを思いだし肩に力が入る。
「蓮水社長、小笠原は貴方の所有物ではないですよ?」
そう言うと高本は更に力を入れて私を抱きしめる。
「お前のでもないだろ。」
「今のところね。」
おそらく睨み合っている二人の空気はピリピリしていて、社長と一社員のやり取りではない。
「社長、すぐ行きますので、部屋に戻っておいて下さい。」
お願いだからこっちに来ないで。
泣き顔なんて絶対見られたくない。
こんな勘違い女の恥ずかしい姿なんて見せたくない…。
私は振り向くこともできず、そう言うしかなかった。
背後で悲しそうな顔をしている彼に気づくこともなく。
慌てて離れようと高本の腕を引っ張る。
けど、いくら力を入れてもその腕は言うことを聞いてくれない。
完全見られてるよね、この状態。
さすがにヤバイと言おうとした時、信じられない人物の声が響いた。
「返してもらおうか。」
低く響く声の主は、私のよく知る人物で、
この涙の、主な原因。
婚約者の話しを思いだし肩に力が入る。
「蓮水社長、小笠原は貴方の所有物ではないですよ?」
そう言うと高本は更に力を入れて私を抱きしめる。
「お前のでもないだろ。」
「今のところね。」
おそらく睨み合っている二人の空気はピリピリしていて、社長と一社員のやり取りではない。
「社長、すぐ行きますので、部屋に戻っておいて下さい。」
お願いだからこっちに来ないで。
泣き顔なんて絶対見られたくない。
こんな勘違い女の恥ずかしい姿なんて見せたくない…。
私は振り向くこともできず、そう言うしかなかった。
背後で悲しそうな顔をしている彼に気づくこともなく。