鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
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ミーティングルームを後にし、社長室へ向かう。
一体どんな態度で接すればいいのか、と考えてはどんどん足が重くなる。

自分の気持ちに気付いてしまった今、今まで通り普通に接することができるのか…
しかも彼には婚約者がいる。

やっぱりあのキスは…ただの気まぐれ、遊びの延長。分かってたはずなのに、実際そうなんだと思うと逃げ出したくなる程悲しかった。

でも仕事は仕事、私情を持ち込んではいけない。
彼は社長で私の上司。
やるべき事はやらなくてはならないのだ。

ミーティングルームを出る前、高本にも励まされたし。『何かあったらすぐ呼べ』なんて、えらく男らしい発言に少し驚いた。


私は気持ちを奮い立たせ、彼の待つ最上階の部屋の扉を開けた。
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