鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
何が何だかわからないが、取り敢えずホテルに向かうしか無さそうで、案内されるまま店の外に出る。


「・・・え?」

「お待ちしておりました。」


店の前には来た時と違うタクシー…ではなく、真っ白なリムジン。
その側に立ってお辞儀するのは品のいい初老のおじ様。


「さ、お乗り下さいませ。」


丁寧な言葉遣いとは裏腹に、少し強引にリムジンの後部座席に押し込まれた。



「では、いってらっしゃいませ」



ジュエリーショップの店員さん3人に見送られ、リムジンはゆっくり動き出した。

いってらっしゃいませって…どこのセレブだよ。
これも社長の指示なんだろう。
本当に読めない人。

きっと会場入りするのに正装しないといけないって事だと思うけど。それならそうと言ってくれたらそれなりの格好をして来たのに。


それでもドレスの趣味はドンピシャで私の好みなんだからタチが悪い。
買い取れって言われたら分割にしてもらおう…



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