鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
10分程走ってリムジンは目的地に到着。
プレジデンスホテル。老舗の高級ホテルだ。

人生の中で一度は訪れてみたいとは思ってたけど、まさかこんな形で来ることになるとは。


正面入口の前に滑り込んだリムジンの後部座席の扉が開く。こんな所に止まって迎え入れられたら、どこぞのお偉いさんが降りてきたと勘違いされてしまいそうだ。


「お疲れ様でした。」

運転手さんに言われ、恐る恐る足を下ろす。

なんか緊張してきたかも。


ただこれを渡して、必要であればパーティの手伝いをして、帰るだけだ。緊張する必要なんてない。

何の発表があっても私には関係のないこと。


絶対泣いたりなんかしない。


ありがとうと運転手さんに言い、気持ちを落ち着けてホテルの中へ入った。



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ホテルを入ってすぐに、案内ボードが目に入る。
『ソレイユホールディングス 新施設発表パーティ 会場』

こちらと矢印が記されているので、迷わなくて済みそう。
と言っても、多分このホテルに今いる人はそのパーティの関係者しかいないのだろうけど。

ちらりと見渡しただけでも、会社のロゴが入ったバッヂをつけている人か、マスコミ関係と思われる人しかいない。

本当に大きなグループ会社の傘下に入ったんだなぁ。おじいちゃん社長は一体どんなツテを持ってたんだろ。
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