鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
ワァァ

壇上に上った私達に盛大な拍手が向けられる。

社長が思ったよりも凄い位置にいる人なのは今の流れでわかったし拍手も納得だけど、何でそんな人の隣に私が立ってるの?

しかも肩を抱かれたまま。

司会者からマイクを受け取った社長は、ゆっくりと話し出した。
あの低くよく通る声で。


「ご紹介に預かりました、蓮水です。この度は私の企画に賛同して頂きありがとうございます。」


男性からは羨望の眼差し、女性からはうっとりとした視線が飛んでいる。


「本日発表させて頂きたいのは、

テーマパーク、cuisines of the world

世界各国の郷土料理や、それに通ずる文化をもっと身近に皆様に楽しんで頂くのが目的です。」


流れるような言葉に、私は驚きを隠せない。

これ、私の、叶えたかった夢…

驚く私をよそに次の瞬間もっと信じられない言葉が放たれた。



「発案はここにいる小笠原澄さんのものです。」


背中を押され一歩前に出ると、私に向かって拍手が起こる。

一体どうなってるの…?

誰にも言った事のない私の夢。
たった一度、あの面接の時に語っただけの。

どうしてそれを社長が知ってるの?


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