鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
着いた所は社長室。
最上階にあるここには、仕事でもあまり来ることがないし、おじいちゃん社長は部屋にこもらずにみんなの顔を見に来るような人だったから上がって来たのは入社時のオリエンテーションの時以来。
そう言えばこんな部屋だったかなぁとキョロキョロしながら中に入ると、先に入ったヤツが待ち構えていた。
壁一面の窓越しの都心のビル群を背に、大きなデスクに腰掛け、腕を組んでいるその姿は本当に絵になる。
怖いけど。
「あの…どうして…呼ばれたんでしょう?」
お前明日から来なくていい、以外の返答をくれ、と思いながら問う。
「お前の席、今日からそこだから。」
「・・・は?」
そこ、とその長い指が指し示した所には、
見慣れたデスクが設置されていて。
色味の少ない文房具に、使い古されて数字が消えた電卓、椅子の上のひざ掛けは紛れもなく…私のものだ。
「どういう事ですか?」
「小笠原 澄、今日から社長付秘書を任命する。」
腕を組んだまま、少しだけ口の端をあげて、そいつはとんでもない爆弾を落として来た。
最上階にあるここには、仕事でもあまり来ることがないし、おじいちゃん社長は部屋にこもらずにみんなの顔を見に来るような人だったから上がって来たのは入社時のオリエンテーションの時以来。
そう言えばこんな部屋だったかなぁとキョロキョロしながら中に入ると、先に入ったヤツが待ち構えていた。
壁一面の窓越しの都心のビル群を背に、大きなデスクに腰掛け、腕を組んでいるその姿は本当に絵になる。
怖いけど。
「あの…どうして…呼ばれたんでしょう?」
お前明日から来なくていい、以外の返答をくれ、と思いながら問う。
「お前の席、今日からそこだから。」
「・・・は?」
そこ、とその長い指が指し示した所には、
見慣れたデスクが設置されていて。
色味の少ない文房具に、使い古されて数字が消えた電卓、椅子の上のひざ掛けは紛れもなく…私のものだ。
「どういう事ですか?」
「小笠原 澄、今日から社長付秘書を任命する。」
腕を組んだまま、少しだけ口の端をあげて、そいつはとんでもない爆弾を落として来た。