溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「自分が世界で一番最高の女だって思えるように、愛してやる」


ペット生活三日目。十一月最終週の日曜日。私も甲斐も、昨日に引き続き二人そろっての休日だ。

しかし天気はあいにく朝から雨で、今日は家から一歩も出ることなく、甲斐の“やりたいこと”に付き合っていた。


「この本、こっちでいいの?」

「いや、違う。……お前な、“殺人事件”ってタイトルに入ってるのに恋愛小説コーナーに置こうとするな」


今日は書斎の蔵書整理をするという甲斐。午前中は真剣に棚と本とを見比べる彼をぼうっと眺めていたものの、お昼を挟んで午後になっても作業が終わる気配はなく、いい加減暇だし二人でやった方が早いだろうと、私は手伝いを申し出た。

……だけど、どうやら私はちょっと足手まといになっているみたいで。


「えぇ? だって作者順に並べればいいって……」

「ジャンルも分けるに決まってるだろ。あとハードカバーと文庫も別な」

「うう、わかりました」


めんどくさい……と声には出さずに思って、本の山の中でうなだれる。

だけど黙々と作業しているだけでいいのは、気が楽かもしれない。昨日みたいに終始ドキドキさせられていたんじゃ、身も心も持たないもん。


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