溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「つーか……」
唸るような低い声にドキッとして、上目遣いに甲斐を見る。
すると獲物を射るような鋭い瞳にとらえられ、緊張感からごくりと唾をのんだ。
「今の……ツラいのは、むしろ俺の方だろ」
「な、なんで……?」
本当にまったく意味が分からなくて聞き返しただけなのに、甲斐はがっかりしたように盛大なため息を吐いた。
「お前はもう少し本を読んで、男女のことを勉強しろ」
そうして私の手首を解放し、突き放すように背中を向けてしまう。急に冷たくなった彼の真意がわからず、私は無性に苛立った。
「な、なにそれ……っ。偉そうに命令しないでよね!」
「命令されたくなければ、自分の無防備さを何とかしろ」
「……何言ってるかぜんっぜん分かりません!もういい! リビング行ってくる!」