溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


そう吐き捨てた後、幼稚だとわかっていたけど、私はわざと大きな音を立てて部屋を出て行った。

怒りのままにリビングに向かう途中、胸がむかむかするのと同時に泣きそうな気もしていて、感情がぐちゃぐちゃだった。でも、それ以上にわからないのは、甲斐の発言だ。

なんで、触られた方の私より、甲斐がツラいんだろ。もしかして、触りたくもないもの触っちゃったって感じ?

理一だってずいぶん前から興味を失ってたもんね……きっと、そうとう魅力のないカラダなんだろうな、私。

次第に怒りよりも後ろ向きな気持ちが強くなり、リビングに着くとソファに力なく寝転んだ。

大きな窓の外は暗く、雨の打ちつける音がする。

天気も悪いし、今日は憂鬱だな……。しばらく目を閉じて雨の音を聞いていたけれど、暇を持て余した私はようやく本を開くことにした。

活字に触れるのなんて、いつ以来だろう。高校の教科書が最後じゃないかな……。

ちゃんと読めるかどうか不安を感じながらも最初のページを開き、私はゆっくりと文字を追っていった。


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