溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
ドキン!という音とともに全身が跳ねてしまいそうになる。
いや、あなたから香る大人っぽい香水のほうがよっぽどいい匂いだよ……こんなに近くにいたら酔ってしまいそうなくらい。
照れまくる内心でそんなことを思い、ドキドキに耐える。
でも、きっとクロエさんにも同じように接していたんだよね……う。また、胸に変な痛みが。
「さっきは……悪かったな」
甘い空気を引っ込めて、普通に座りなおした甲斐にそう謝られ、私は首を傾げる。
「さっき?」
「……忘れたならいい」
ふい、と顔を背けてなぜか気まずそうな甲斐。その耳が少しずつ赤みを帯びてきたのを確認するなり、私の脳裏にも思い当たる記憶がよみがえった。
そ、そーいえば、さっき書斎で恥ずかしい事件があったんだった……! でも、別にもう怒ってないし、どっちかというと悪いのはおっちょこちょいな私だ。
「こ、こっちこそ、ごめん……私のなんて大したアレじゃないのに、大騒ぎして」
貧乳というわけじゃないけど、巨乳でもないし、美乳な自信もない。ついでに彼氏にも飽きられたくらいだから、甲斐だって、風船でも触ったのとおんなじ感覚かもしれないのに、さっきは騒ぎすぎたよね。
あはは、と自虐的に笑ってみるけど、甲斐は大真面目な顔で私を見つめた。
「お前がそんなに自分に自信がないのは、前の男のせいか?」
「へっ?」