溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
甲斐は短く息を吸い、何かに苛立ったように話し出す。
「俺なら、自分の女にそんなこと言わせないし、そもそも思わせない。自分が世界で一番最高の女だって思えるように、愛してやる。それが、男ってもんじゃねえのか?」
堂々と持論を展開する甲斐を、私はまぶしいものでも見るみたいに目を細めて見つめた。
……すごい。甲斐って、本当に、根っからカッコいいやつなんだ。
御曹司っていう肩書きとか、整った容姿とか、そういうスペックよりなにより、その内側にある優しさや男らしさが、甲斐をここまで魅力的な男性にしているんだ。
「……あなたの恋人になる人は、幸せ、だね」
そう呟いてにっこり笑ったつもりだったのに、言葉尻が震えてしまった。
“甲斐の恋人”
それは私には一生訪れない地位だと、口に出しながら気づいたからだった。
そして、それをショックに思う自分は、彼に……惹かれ始めていたのだということも。
「そうとは限らねえよ」
甲斐は自嘲気味に言うと、寂しげに目を伏せた。
クロエさんのことを思い出しているのかな。それとも、ほかの女の人?
どっちにしろ、いやだよ、なんて。……やっぱり、嫉妬しているみたいだ、私。
そして、嫉妬をするってことは……その根っこに、揺るがない想いが生まれているから。