溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


「ありがとうございます。でも、服が素敵なだけで……」


正直な気持ちを言ったつもりなのだけど、急に表情を曇らせた明神さんにダメ出しをされてしまう。


「アカン。アカンでそれは稀華ちゃん」

「え?」

「俺はアメリカ暮らしが長いからかもしれんけど、謙虚とか謙遜は嫌いやねん。褒められたら素直に受け取ればええ。自信もって着てくれたほうが、俺もうれしいし」


ファッションデザイナーとして成功している彼がいうととても説得力があって、素直に褒め言葉を受け取れない自分を反省する。


「ごめんなさい……私、自分に自信がないから、褒められると勝手に“どうせお世辞だろうな”って思っちゃうところがあって」

「まあ、稀華ちゃんがそう思ってしまうのには何か事情があるんやろうけど……俺の服着てるときくらいは胸張ってや。タモツミョージン着て可愛くならん子なんておれへん」


なっ!と励ますように言われて肩をポンと叩かれた。

明神さんって、裏がなくて本当にいい人だよなぁ。それに、自分の仕事にきちんと自信と誇りを持っているのが滲み出てる。

すごいな、と。心から尊敬するのはもちろん、蓮人と同じく、普通の人には手の届かないキラキラした世界の住人だと感じる。そう言ったら、明神さんはきっと否定するんだろうけど。



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