溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「そうですよね。……服に負けないように、頑張って自分磨きます」
「それがええ。もちろん今でも可愛いけど、向上心ある女の子はもっと光るで。ほな俺はそろそろ撮影行くわ。あ、雑誌出たら買ってな? 今回タモツミョージンの特集にめっちゃページ割いてくれんねんて。ありがたいこっちゃ」
「はい! 楽しみにしてますね」
すごいな。やっぱり、彼のブランドの特集なんだ……。
オフィスを出ていこうとする明神さんを感心しながら見つめていたとき、廊下へ続くドアが先に外側から開いた。
同僚の誰かかと思いきや、そこから顔を出したのは、テレビか雑誌でしか見たことのないナナセさん張本人。
オフィスが一瞬どよめき、私もそのまばゆいほどの美貌に息をのんだ。
腰まであるロングヘア、細いのに出るとこ出てるパーフェクトボディ。顔のパーツはすべてが大きくそれでいて均整も取れていて、日本人離れした華やかな顔立ち。すごい……さすが芸能人は違うな。
「タモさん、早くぅ。みんな待ってるよ?」
甘えた声とともに、細い腕がくいくいと、明神さんの黄色ジャージを引っ張る。
タモさん……? というのは、タモツさんの略だろうか。
「タモさん言うな! その愛称はほかの超有名人が先に使こてるんやから今さら浸透せんっていつも言っとるやろ!」
「ナナセその人知らないし」
「それでテレビ出てるっちゅーお前の神経を疑うわ。あの人は神やぞ。……ってそんなことはどうでもええねん。行くぞ、ほなな稀華ちゃん」
せわしく挨拶をする明神さんに、ナナセさんが口をとがらせて不思議そうな顔をする。