溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


「マレカちゃん?」

「そうや。蓮人の新しい……」


話しながら二人は出て行き、オフィスのドアがゆっくり閉まる。

話の続きを聞くことはできなかったけれど、ドアについた小さな窓越しにナナセさんと目が合った気がして、なんだか胸が騒いだ。

明神さん、ナナセさんんの前で当然のように“蓮人”って名前を出した。ということは、ナナセさんも蓮人と知り合いということ……?

……やだ。私、また嫉妬してる。

前のペット“クロエ”さんはともかく、相手がナナセさんじゃ、太刀打ちできない。それどころか、蓮人の隣にはああいう人が似合うんだろうなって、私自身が思ってしまう。

いや、そもそも私は、ペット以上にはなれっこないんだけどさ……。

はあ、と重いため息をつきオフィスの自分の席に戻っていく。

その間中、同僚たちからの視線がいくつも私を突き刺したけれど、直接話しかけてくる人はいなかった。

やっぱり、ナナセさんや明神さんがいなくなっちゃえば、だれも私個人に興味なんてないよね。

自分の地味さに救われつつも、内心複雑だった。

蓮人や明神さん、ナナセさん。彼らと私とではやっぱり住む世界が違うと、改めて思い知らされたような気がした。



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