溺愛ペット契約～御曹司の甘いしつけ～

「そこまで考えてくれたのか。……ありがとな。ほら、ご褒美」


私の肩を包み込むように抱いていた腕の一方が外され、その手が私の顎をつかんで上を向かせる。

こ、これはもしかして……っ。なんとなく何をされるのかを予感した私は、ガチガチになって唇を引き締めた。


「そんなに緊張されると……よけいこじ開けたくなるだろ？」

「えっ」


ふ、と鼻で笑った息が頬にかかったかと思うと、一気に接近されて。


「ん、ふぁ！」


ぶつかるように合わさった唇、その隙間から、生暖かく濡れたものが侵入してきた。

う、うそ……。いきなり、こんな、こんな、オトナのキス……！

顎をつかまれているし、そもそも背後から抱きしめられたままの体勢だから、逃げるのなんて到底無理で、私はされるがまま。

何度も舌を絡ませ合う深いキスに段々と体の力が抜けて、腰が砕けそうになる。胸はジンジン火照り、痛いくらいに激しく脈打っていた。

その一方で不思議と、会社で明神さんやナナセさんと会って沈んでいた気持ちが、嘘みたいに軽くなるのを感じた。

いくら甘く心地いいキスでも、“ペットとして”与えられているものなんだから、いい気になっちゃ駄目。そう、自分でも思うけれど……でも、嬉しいんだもん。

蓮人からのキスは、ペットの私にとって本当にこの上ないご褒美なんだ。

そんなことを思ってキスを受け止めていると、最後にちゅう、と濡れたリップ音を立てて蓮人の唇は離れていった。私の唇には甘い余韻がまだ残っていて、酸欠気味の脳はぼうっとかすんでいる。

閉じていたまぶたを開くと蓮人が色っぽく瞳を細め、キスの名残と思われる濃密な吐息をこぼした。