溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「美鈴さん! どうしたんですか? こんなところまで」
「ゴメンね急に。前に電話では話したけど、稀華ちゃんがどうしてるか心配でさ。前もって連絡しようとも思ったけど、そしたら会わせてもらえない可能性もあるかとか考えちゃって。ほら、稀華ちゃんが今お世話になってる御曹司さんにとっては、あたしってリーチくんの一味だし?」
「一味って……悪の組織じゃないんですから。それに、今は彼出張中でいないんで大丈夫ですよ」
そう言って笑いかけると、美鈴さんが急に真面目な顔になった。そうして私の瞳をじっと見つめたかと思うと、こう断言した。
「ちゃんと笑えてないわよ。なんか悩んでるでしょ。お姉さんに言ってごらん」
……う。さすが、付き合いの長い美鈴さん。ここで適当に誤魔化しても、すぐに見透かされちゃうよね。
「……美鈴さん、このあと時間あります?」
観念して、というよりはむしろ頼れる姉御の美鈴さんに話を聞いてほしくなり、私は腕時計を見て尋ねる。
「あるから会いに来たんじゃない。実は哲も今日は家にいないからさ、ゆっくりご飯でも食べながら話そうよ。あの銀座のクラブも、もう辞めたしね」
「えっ?」