溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


「い、痛い……肩が変になりそう……」

「……仕方ねえな。入るぞ」


ガチャッとドアが開き、ネイビーのスーツに身を包んだ蓮人が現れる。

スーツとはいえカジュアルにノーネクタイで着こなしていて、シャツの隙間からのぞく首筋から鎖骨のラインがセクシーでドキッとする。


「髪、上げとけ」

「あっ、はいっ」


……いかんいかん、見惚れている場合じゃなかった。

言われた通り首にかかる髪を持ち上げると、突然首の脇に柔らかいものがちゅっと触れた。


「ひぁっ」


く、くすぐったい……! 今、キ、キスみたいな感触が!


「……悪い。お前のうなじがあまりに美味そうだから、つい」


そんな言葉とともに艶めかしい手つきでツツっと首を撫でられて、ぞくぞくしてしまう。

そ、そんな色っぽいさわり方しないで~! っていうか、本来の目的忘れてない!?


「フ、ファスナー……」

「ああ、そうだったな」


恨めし気に振り返った私に軽い返事をして、蓮人はようやくファスナーを上げてくれた。そして今度は私の前に回り込み、上から下までしげしげ眺める。


「変……?」

「誰がそんなことを言った。大丈夫だ、ちゃんとお姫様に見える」


お、お姫様だなんて……! そんなキャラじゃないよ、私。

嬉しいけど照れくさくて、うまい返事が思い浮かばない。


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