溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「ちょ、すごすぎ……」
目の前に広がるラグジュアリーな世界に、思わず息を呑む。
広々として十人くらい座れそうな黒い革張りのシート。照明はムードを演出するかのように薄暗くなっているけれど、天井に星をちりばめたようなライトが点在していてとっても綺麗。
そしてシートの前には小さなカウンターがあって、様々な洋酒の瓶やグラスが整然と並んでいる。まるで、銀座のクラブにいたころちょっとだけ覗いたことのある、VIP席のようだ。
遠慮がちにシートの中ほどに腰掛けると蓮人も隣に乗り込んできて、運転手らしきガタイのいい黒人男性がそのドアを閉めた。おお、SPみたいでカッコいい。
ほどなく車は動き出し、闇に染まる街を眺めながら蓮人に話しかける。
「そういえば、運転席が見えないけどどうなってるの?」
「ああ、パーテーションで仕切られてるから見えないんだ。もちろん会話が漏れることもない」
「へえぇ。よくできてるんだね」
「だから……」
間の抜けた相槌を打っていると、ぐっと肩を抱かれて蓮人の体に寄りかかる形になった。ふわんと香った蓮人の香水に、心拍数が一気に跳ね上がる。