溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「いくら必要なの? それ」
バッグから財布を取り出し、ファスナーに手を掛けながら尋ねる。
「四万七千円」
「えっ」
よ、予想以上に高い……。そんなにお財布の中にお金入ってたっけ?
ガバッと札入れを開いてみると、案の定一万円札は一枚だけで、あとは千円札が三枚しかない。
「ちょ、ちょっとその金額は厳しいな……」
「マジか……ATMで下ろしても、無理?」
「うーん……」
理一に縋るような瞳で見つめられるけど、私は難色を示す。
口座の残高はゼロなわけじゃないけど、それは生活費と、来月に迫ったクリスマスのため。
二人で少しは贅沢なものを食べたり、理一に何かプレゼントできたらなと思ってコツコツ貯めたお金だ。
私は一度お財布を閉じ、両手を合わせて理一にお願いする。
「ゴメンね理一。お金ないことはないけど、来月のためにとっておきたくて」
「来月?」
「うん。ほら、私たちいつも節約生活だからさ、クリスマスくらい、ちょっと奮発したくない? ……プレゼントだって、あげたいし」