溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
一番大好きな人に“メリークリスマス”を言ってもらえて、こんな素敵な時間を過ごさせてもらって……なんだか、すでに最高のプレゼントをもらってしまった気分だ。デートはまだ始まったばかりなのに、幸せ過ぎて胸がいっぱい。
「……ほら、見ろよ、外」
「わぁ……」
蓮人に言われて窓を覗いた瞬間、目の前に幻想的なブルーの景色が広がった。通りの両脇に植えられた街路樹のひとつひとつに、無数の青色のライトがつけられているらしい。
「綺麗……。なんとなくだけど、【幸福の雪姫】の世界みたいね」
物語のなかで、背景に雪景色の多いあの話を思い出し、私は呟いた。この東京に雪はないけど、青いライトの灯った木々は冷たい雪を思わせる。
「そういや、お前あれ最後まで読んだのか?」
「ううん……。なんとなく、先を読みたくなくて」
おススメしてくれた蓮人には申し訳ないけど、あの物語が悲しい結末だというのを知っているからこそ、最近の精神状態ではなかなか読む気になれなかったのだ。
「……そうか」
蓮人はそれ以上何も言うことなく、黙ってシャンパンのグラスを傾けた。私も車窓を見ながら無意識に飲み進めていて、確実に酔いが回り始めたのを感じていた。
飲み過ぎはよくないけど、これくらいなら気分よく身体も温まって、ちょうど気持ちのいいところ。
今なら、蓮人に甘えられるかも……。