溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「……夜景だけじゃないよ」
「ん?」
「蓮人といると、毎日が本当にきらきらしてる。何気ないことが楽しくて、たぶん私、前よりずっとよく笑うようになった」
それは蓮人がいいマンションに住んで、いい車に乗って、いい暮らしをさせてくれるからってわけじゃない。蓮人と一緒なら、きっと下北沢のボロアパートだって、きらきら輝くはずだ。
蓮人はどんなときも、ちゃんと“私自身”を見つめて、大切にしてくれるから。
「だから、ありがとう。今こうして心から笑っていられるのも、蓮人のおかげ」
「稀華……」
微笑んでかすかに振り返った私を、蓮人が愛しそうな眼差しで見つめる。
肩を抱きしめている手にぎゅっと力がこもり、吐息交じりの低い声が私に囁く。
「最後の場所に移動しよう。こんな場所で理性を失うわけにはいかねぇからな」
意味深なセリフに、体の奥が熱く疼くような感覚を覚えて、私は慌てる。
は、発情するな稀華! 何度も言うけど今日の蓮人は“恋人役”であって、こうして欲情らしきものを醸し出すのも全部演技なんだから……っ!