溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「……頼むから、わかってくれ」
マンションからここまでの豪華な旅を演出してくれたリムジンに別れを告げ、いざホテルの中へ。するとエントランスに入るなり、そこはクリスマス一色だった。
ロビー中央、煌めくシャンデリアの真下には本物のツリーが置かれ、いたるところに配置されたフラワーアレンジメントにも金や銀のオーナメントが飾られていたり。
蓮人がフロントで手続きをしてくれている間も、そのロマンチックなインテリアを見ているだけで退屈しなかった。
「じゃあ上がるぞ、部屋。三十階だ」
「あ、うん」
キーを受け取った蓮人の後についていき、エレベーターホールへ向かう。その途中ですれ違うほかのお客さんたちにはどことなく気品があって、このホテルのグレードの高さがうかがえた。
それに比べて、自分の場違い感がいたたまれない……。そんな思いを抱きつつ、蓮人とふたりきりでエレベーターに乗り込む。
ドアが両側からゆっくり閉じてエレベーターが上昇し始めたのと同時に、蓮人がぴたっと寄り添って私の腰を抱いた。至極優しいタッチではあるけど、普段触られたことのない場所なだけに、計り知れないドキドキに襲われる。
その緊張を感じ取ったのか、蓮人が私を見下ろしてこんなことを言う。