溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
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「美味しっ!」
「……だろ? 三ツ星とはいえ俺は自分の舌で確かめないと納得しないタチなんだが、ココのは本当に最高なんだ」
――料理は喉を通らないなんて、前言撤回。
部屋に着くと“待ってました”と言わんばかりにテーブルの上には食事が用意されていて。それがあまりに美味しそうなので、私は手のひらを返したように食事モードに突入した。
「蓮人って、いつもこんなにいいもの食べてるの?」
白を基調とした貴族風のインテリアに囲まれたスイートルーム。その眺めのいい窓際に設置されたテーブルに蓮人と向かい合って座り、フルコースの肉料理に舌鼓を打ちながら尋ねる。
最初に用意されていたのは前菜とスープ、ワインのみで、食事が進むと絶妙なタイミングで次の料理が部屋に運ばれてくるという、至れり尽くせりなディナーも後半戦に突入していた。
「なわけあるか。今日は特別。まあ、喜んでもらえたなら何よりだ」
優しく微笑まれて、私はしみじみ彼に感謝した。
「……ありがとう」
実は食べ始めてから、フランス料理ってテーブルマナーとかあるんじゃ?と不安になったけど、二人きりなのでそこまで気負う必要もなく。
食事を部屋にしてくれたのは、そういう部分も考慮してのことだったのかも、と思うと、蓮人の気遣いがありがたかった。