溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


前もって言ってしまったらサプライズにはならないけれど、楽しいクリスマスを過ごしたいという気持ちを分かって欲しくて、正直に伝えた。

一緒に住んではいても、仕事に明け暮れる私と、バンドの練習に追われる理一では、ふたりで過ごす時間が意外に少なく、寂しい思いをしてきた。

だから、クリスマスくらいは美味しいものを食べたりプレゼントを贈り合ったり、恋人らしいささやかな幸せを感じられたらなって、期待しているのだけど。


「なんだ。それなら、クリスマスプレゼントを、今くれればいいだけの話じゃん」

「え……?」


理一の発言がすぐには理解できなくて眉根を寄せると、彼はへらっと笑って見せる。


「プレゼントってことは、俺の欲しいもの買ってくれる予定だったんでしょ? だったら今くれても同じことでしょ。もちろん、クリスマスにもプレゼントちょーだいなんて図々しいことは言わないからさ」

「そ、それは、そうかもしれないけど……」


なんでわかってくれないんだろう。そういうことじゃないのに。

確かに今お金を下ろしてきて、理一の今一番欲しいものをプレゼントすることもできるよ。

でも、それじゃ意味がないの。

私が思い描いてたのは、こんなに味気ないプレゼントなんかじゃないんだよ。

どうしてわかってくれないの……?


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