溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


「そうだ、あのね、プレゼント……」


デザートも済んで、コーヒーと焼き菓子がテーブルに並んだ頃、私は空いている椅子に乗せたバッグを探り、ラッピングされたプレゼントの箱を取り出す。

今日の私はもてなされてばかりで、彼に何ひとつお返ししていない。こんなプレゼントくらいじゃ足りないくらいだろうけど、今私にできる精いっぱいのものを買ったつもり。

はにかみながら向かい側の蓮人に渡すと、平べったい箱の形からすぐに中身が分かったようだ。


「ありがとな。ネクタイ、か?」

「うん。仕事の日は毎日つけるから、増えても困らせることはないかなって」

「見てもいいか?」

「あ、うん。……気に入らなかったらゴメン」


目の前でリボンが解かれ、ラッピングがはがされるのを見つめるのは妙に緊張した。デザインの好き嫌いはもちろん、価値観の違いだって絶対にある。私にとっては大きな買い物も、蓮人にとっては安物っていう印象かもしれないし……。

ハラハラしながら見守る私に、蓮人はさっそく取り出したネクタイを胸元に当てて見せる。色はブルーとネイビーの中間くらいで、今日のスーツにもよく合う。


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