溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


納得できない気持ちをうまく伝える言葉が見つからず、私はただ俯く。

すると、理一はしびれを切らしたように私のお財布に手を伸ばしてきた。


「まれが行かないなら俺が行ってくる。カード貸して」


その行為がなぜだかとても許せなくて、私は彼の手をぱしん、と跳ねのけてしまった。

今まで、どんなに生活が苦しくても“カード貸して”とまでは言われたことなかったのに、すごいショック……。

今の理一は、“私”というより“私のお金”しか見えていないみたい。


「自分で、行ってくる、から」


理一は少しだけ目を見開き驚いたようだったけど、すぐにいつもの無気力な表情に戻り、さっきまで座っていた壁際にまた腰を下ろした。


「わかった。早めにお願い」

「……うん」


私は理一の顔を見ないようにして、玄関付近のフックにぶら下げてあるトレンチコートを羽織って部屋の外に出た。

うう、安物のコートはあんまり暖かくないな……さっき甲斐に借りたジャケットは全然風を通さなかったのに。あれきっと、お高い服なんだろうなぁ……。

同じ人間なのに、この生活格差。世の中って理不尽……。

深いため息をこぼしながらアパートの階段を降り、さっきタクシーを降りたコンビニまで急ぐ。


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