溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「おめでとう、理一」
最後まで一番近くにいて応援してあげることはできなかったけど……念願だった夢を叶えたこと、本当にすごいと思う。こうして面と向かって“おめでとう”が言えてよかった。
そんな思いにしみじみ浸って理一に微笑みかけると、彼はなぜか怒ったような顔をして目を逸らしてしまう。
「理一……?」
「……ゴメン。ちょっと、ひとりにさせてくれない?」
「え?」
どうしたんだろう、急に。なんだか、声が震えて……。
「俺、ホント何やってたんだ。まれからの“おめでとう”は、こんな形になるはずじゃなかったのに……遅ぇんだよ、何もかも」
理一は自分に苛立ったように強い語気で吐き捨て、拳でガッと膝を叩いた。それからゆっくり私の方を向いた顔は、今にも泣き出しそうで。
「こんな不甲斐ない男に、何年も付き合ってくれたこと……本当に感謝してる。今の俺があるのは間違いなくまれのおかげで、この先誰と付き合っても、誰と結婚することになっても、お前を忘れる事なんか絶対にない」
「り、いち……」
もう、恋ではない。だけど、長い間ずっと一緒にいて、苦しいことも楽しいことも共にした相手だ。
これで最後、と思うと、言葉にならない気持ちが胸いっぱいにあふれる。