溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
理一は自分の想いを吐き出してスッキリしたのか、ふう、と息をつくと、気を取り直したように私をけしかける。
「ほら……もう行けよ。アイツ、なかなか素直じゃなさそうだったから、まれからその胸に飛び込んでやらないと」
「アイツって……。そういえば、なんで理一があの人と知り合いなの?」
「ん? まぁそれはあっちに聞いてよ。ねえまれ、本当に早く行かないと、このゴージャスな部屋で襲っちゃうよ?」
ニコッと無邪気に微笑まれ、身の危険を感じた私は咄嗟にパッと立ち上がってしまった。理一は拗ねたように口をとがらせ、ブツブツと呟く。
「そんなに嫌がらなくたって」
「ご、ごめん」
「いいってもう。……ばいばい、まれ。幸せになれよ」
ありがとう、理一。これから私たちの道は分かれてしまうけど、私もあなたの幸せを願ってる。
「うん。理一も……元気でね」
涙が出そうになるのを堪え、笑顔で最後の言葉を告げた。
荷物を持ってスイートルームを出ると、頭の中に像を結ぶのは、たった一人の愛しい人。
蓮人……。マンションに帰れば、会えるかな。
お願いだから、今度こそ、この気持ちを伝えさせて――。