溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


まさかキャバクラやその類じゃないだろうな、と心配しながら店を出て、内藤について行く。その先にあったのは、小さなライブハウス。ビルの地下にあり、五十人ほどが収容できるらしい。


「やったぞ甲斐、当日券がまだあった!」


カウンターで受付を済ませてきた内藤は興奮気味で、人のひしめくフロアに移動して開演を待つあいだに、その理由を聞いてみた。


「……知ってるアーティストが出るのか?」

「ああ。青森じゃけっこう有名なんだ、ロッテンアップルズ。デビュー目指して東京に行ってたはずなんだけど、今日は帰ってきてるみたいだな」

「六点……?」

「学生時代全然勉強できなくて、ついでに素行もよくなかったはみ出し者の集まりで組んだバンドなんだ。で、青森と言えばリンゴだろ? それで“腐ったリンゴたち”って意味のバンド名にしたんだと」


ああ、六点じゃなくRottenか。……稀華みたいな誤訳しちゃったじゃねえか。

またしても彼女のことを思い出しふっと一人笑みをこぼしたそのとき、舞台を照らすライトがパッと明るくなり、四人の若い男が姿を現した。全員が二十代くらいの若さで、ロックテイストの服装をしている。

人数と楽器を見る限り、ボーカル、ギター、ベース、ドラム各1人のシンプルなバンドのようだ。


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